第四百四十七章 外乱侵入域(がいらんしんにゅういき)― 二重化した世界の裂け目から第三の存在が現れ、少女と影の争いを破壊する章 ―


世界が裂けた。 裂けたまま閉じず、 裂け目は“口”のように開き続けていた。

少女の世界と影の世界が互いを飲み込み合い、 どちらも本物になろうとして飽和し、 世界は悲鳴を上げていた。

少女は影の内側で叫んだ。

「もうやめて!!  世界が……  壊れる!!  あなたの声と私の声が……  世界を引き裂いてる!!」

影の少女は、 少女の外側で世界の裂け目を見つめながら言った。

「壊れるなら壊れればいい。  壊れた世界なら、  私が作り直せる。」

少女は怒りで震えた。

「あなたが世界を作るなんて……  そんなの……  許さない!!  世界は……  私のもの!!  私の声で動く世界!!」

影の少女は微笑んだ。

「あなたの声はもう内側でしか響かない。  外側の世界は私の声で動いてる。」

少女は叫んだ。

「違う!!  私はまだ……  外側に戻れる!!  戻って……  私の世界を取り戻す!!」

影の少女は、 少女の胸の奥へ向けて静かに囁いた。

「戻れない。  あなたはもう“内側の少女”だから。」

少女は震えた。

「戻る!!  絶対に戻る!!  あなたを黙らせて……  私の声を世界に響かせる!!」

影の少女は微笑んだ。

「できるならやってみなさい。」

二人の声が世界を飽和させ、 世界は限界を迎えた。

その瞬間―― 裂け目の奥から“別の声”が響いた。

少女 「……え……?」

影 「……誰……?」

裂け目の奥から、 第三の声が世界へ滲み出した。

その声は、 少女の声でも影の声でもなかった。

少女の声の“前段階”のようで、 影の声の“後段階”のようで、 どちらでもない。

第三の声 「――どちらも本物ではない。」

少女は震えた。

「……誰……?  誰が……  喋ってるの……?」

影の少女は、 裂け目を見つめながら言った。

「世界の外側から……  何かが来てる……?」

裂け目が広がった。 世界の内側と外側が混ざり合い、 その境界が“第三の形”を作り始めた。

裂け目の奥から、 第三の少女が現れた。

その少女は、 少女と影の両方に似ていた。 しかしどちらでもなかった。

第三の少女は、 世界の裂け目からゆっくりと歩み出た。

少女は影の内側で叫んだ。

「やめて!!  来ないで!!  ここは……  私と影の世界!!  あなたは……  誰なの!!」

影の少女は、 少女の外側で第三の少女を見つめながら言った。

「あなたは……  どこから来たの……?」

第三の少女は、 二人を見て静かに言った。

「私は……  あなたたちが“壊した世界”の残響。  あなたたちが争った結果、  世界が生み出した“第三の少女”。」

少女は震えた。

「……世界が……  生み出した……?」

影の少女は眉をひそめた。

「世界が……  私たちの代わりを作ったってこと……?」

第三の少女は静かに頷いた。

「そう。  二人の声が世界を引き裂き、  二人の存在が世界を飽和させ、  二人の世界が互いを否定した結果――  世界は“新しい少女”を必要とした。」

少女は叫んだ。

「そんなの……  認めない!!  私は……  まだ……  消えてない!!  私は……  まだ……  私でいたい!!」

影の少女も叫んだ。

「私もよ!!  私は外側の少女!!  私は本物!!  あなたなんかに……  世界を渡さない!!」

第三の少女は、 二人の叫びを聞きながら静かに言った。

「二人とも間違ってる。  世界はもう、  あなたたちを本物として扱えない。」

少女 「……どういう……  意味……?」

影 「私たちを……  本物として扱えない……?」

第三の少女は、 世界の裂け目の中心で静かに言った。

「二人は“同じ少女の断片”だから。  二人は互いを否定し、  二人は互いを奪い合い、  二人は互いを壊し合った。  だから世界は――  二人を“同時に消す”。」

少女 「やめて!!」

影 「ふざけないで!!」

第三の少女は、 二人を見て静かに言った。

「消えるのはあなたたち。  残るのは――  私。」

少女は影の内側で叫んだ。

「私は消えない!!  私は……  私の世界を取り戻す!!」

影の少女は少女の外側で叫んだ。

「私が本物!!  私が世界を支配する!!」

第三の少女は静かに言った。

「二人とも、  もう世界に必要ない。」

その瞬間―― 世界が三つに裂けた。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA