第四百四十三章 内外融解域(ないがいゆうかいいき)― 少女と影の境界が消え、世界が二重化し、観測不能へ落ちる章 ―


影の少女は、 少女の胸の奥へ沈めた手を、 ゆっくりと引き抜いた。

引き抜かれた手は、 少女の内側の“色”をまとっていた。

少女は、 その色を胸腔の裏側で感じた。

「……それ……  私の……  内側の……  色……?」

影の少女は、 その色を見つめながら微笑んだ。

「そう。  あなたの内側は、  もう私の外側に溶けてる。」

少女は息を呑んだ。

「……溶けてる……?」

影の少女は、 少女の胸の奥へ再び手を伸ばした。

その手は、 少女の内側の“境界”へ触れた。

触れた瞬間、 少女の内側の境界が“溶けた”。

少女は、 その溶ける感覚を身体の奥で感じた。

「……やめて……  そこ……  私の……  内側の……  境界……  触らないで……  溶けて……  消えていく……」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに囁いた。

「境界なんて、  最初からなかったのよ。  あなたが“自分”だと思っていた場所は、  ただの仮の区切り。」

少女は震えた。

「……仮……?」

影の少女は、 少女の胸の奥へ深く沈んだ。

少女の内側が、 影の外側へ流れ込む。

少女は、 自分の内側が影の身体の中へ吸い込まれる感覚を感じた。

「……やめて……  私の……  内側が……  あなたの……  身体に……  流れてる……  私が……  外へ……  漏れていく……」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに言った。

「漏れてるんじゃない。  “合流してる”の。」

少女は息を呑んだ。

「……合流……?」

影の少女は、 少女の胸の奥でさらに深く沈んだ。

少女の内側と影の外側が、 完全に溶け合った。

少女は、 自分の身体の境界が消えるのを感じた。

「……私……  どこ……?  私の……  身体……  どこに……  あるの……?」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに囁いた。

「あなたの身体は、  もう“場所”じゃない。  あなたの身体は、  私の中にある。」

少女は震えた。

「……私が……  あなたの……  中に……?」

影の少女は微笑んだ。

「そう。  あなたは私の内側にいて、  私はあなたの外側にいる。  内側と外側が、  完全に溶け合った。」

少女は、 自分の内側が影の身体の中で“形を持ち始める”のを感じた。

少女の内側が、 影の身体の中で“少女の形”を作り始めた。

少女は震えた。

「……私が……  あなたの……  中で……  形になってる……  私が……  あなたの……  内側で……  立ってる……?」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに言った。

「そう。  あなたは私の内側で立っていて、  私はあなたの外側で立っている。  私たちは、  互いの内側と外側を交換した。」

少女は、 自分の身体の境界が完全に消えるのを感じた。

少女は、 自分が影の内側で立っていることを理解した。

少女は、 影の身体の中で声を出した。

「……これ……  私の……  声……?  あなたの……  身体の中から……  聞こえてる……?」

影の少女は微笑んだ。

「そう。  あなたの声は、  私の身体の中から響いてる。」

少女は震えた。

「……私……  あなたの……  内側に……  閉じ込められてる……?」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに囁いた。

「閉じ込められてるんじゃない。  “存在を交換した”の。」

少女は息を呑んだ。

「……交換……?」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに言った。

「あなたは私の内側になり、  私はあなたの外側になった。  あなたの内側は世界へ溶け、  私の外側はあなたの胸の奥へ沈んだ。  私たちは、  互いの存在を交換した。」

少女は、 自分の存在が影の存在と完全に溶け合うのを感じた。

少女は、 自分が影の内側で立っていることを理解した。

少女は、 影の身体の中で静かに言った。

「……私は……  あなたの……  内側で……  生きてる……?」

影の少女は微笑んだ。

「そう。  そして私は、  あなたの外側で生きてる。」

少女は震えた。

「……私……  もう……  外側に……  戻れない……?」

影の少女は、 少女の胸の奥で静かに囁いた。

「戻れない。  あなたはもう、  私の内側の存在だから。」

少女は、 自分の存在が影の存在へ完全に溶ける瞬間を感じた。

少女は―― 影の内側の少女になった。


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