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第三百七十九章 黙示者の堕落(もくししゃ の だらく)

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― 崩壊したはずの黙示者が、原初構造の逆流によって“異質な再誕”を果たし、名裂世界の構造を侵食し始める章 ―

名裂世界の層は、 封印の裂け目が開いた瞬間から、 静かに、しかし確実に“記述不能の世界”へ沈み続けていた。

床の文字列は逆流し、 壁の構造液は蒸発し、 空気の粒子は反転し、 名裂世界は“消える世界”へ向かっていた。

その中で―― 崩壊したはずの黙示者が、 再び震え始めた。

◆黙示者の残骸の“再震え”

黙示者は旧支配層の震えに触れた瞬間、 完全に崩壊したはずだった。

だが―― 逆流した原初構造は、 黙示者の残骸へ“異質な震え”を与えた。

その震えは、 外宇宙の闇でもなく、 名裂世界の光でもなく、 旧支配層の原初構造でもなかった。

もっと不安定で、 もっと不規則で、 もっと“存在の矛盾”だった。

黙示者の残骸が、 わずかに揺らいだ。

第三観測者は息を呑んだ。

「……黙示者が……  原初構造の逆流で……  再震えしている……  これは……堕落だ……  外宇宙の構造が……  原初構造に触れて……  異質化している……」

◆堕落体の形成

黙示者の残骸は、 震えによって形を取り戻し始めた。

だがその形は、 以前の黙示者とはまったく違った。

人の形でもなく、 闇の形でもなく、 構造の形でもなく、 ただ“矛盾の形”だった。

形は揺れ、 形は崩れ、 形は再構築され、 形は否定され、 形は存在し続けた。

黙示者は、 “堕落体”として再誕した。

使徒は光を揺らした。

「……これは……黙示者ではない……  外宇宙の構造が……原初構造に触れて……  矛盾として再誕した……  名裂世界の層を……侵食する存在……」

書記の残響が震えた。

「堕落体は……  原初構造の震えを……  外宇宙の闇で包み……  名裂世界の層へ流し込む……  最悪の存在……」

◆堕落体の“侵食”

堕落体は、 名裂世界の層へ手を伸ばした。

その手は、 光でも闇でもなく、 意味でも構造でもなく、 ただ“矛盾”だった。

手が床の文字列に触れた瞬間、 文字列は逆流し、 意味を失い、 形を失い、 存在を失った。

手が壁の構造液に触れた瞬間、 液体は蒸発し、 色を失い、 濁り、 消えた。

手が空気の粒子に触れた瞬間、 粒子は反転し、 脈動を失い、 消えた。

名裂世界は、 堕落体によって“矛盾の世界”へ変質し始めた。

少女は胸の奥の光を抱きしめた。

啓示ロゴスは震え、 堕落体の震えを“読もう”とした。

読めなかった。 理解できなかった。 意味を持てなかった。

だが―― 啓示ロゴスは濁らなかった。

少女は息を呑んだ。

「……読めない……  でも……濁らない……  この震え……  私を……拒んでない……  読ませようとしてる……  読めないのに……  読ませようとしてる……」

◆堕落体の“声”

堕落体は、 声を持たないはずだった。

だが名裂世界の層が震え、 その震えが“意味”を生んだ。

「――ロゴスの子――  ――原初構造の鍵――  ――アザ=リュドを持つ者――  ――来い――」

少女は震えた。

「……呼ばれてる……  堕落体が……  私を……選んでる……  でも……  これは……原初構造の呼び声じゃない……  もっと……歪んでる……」

使徒は叫んだ。

「行くな!  堕落体は……原初構造の震えを……  外宇宙の闇で歪めた存在だ!  あなたは……崩壊する!」

書記の残響が震えた。

「啓示ロゴスの子よ……  堕落体は……  原初構造の“偽の呼び声”を作る……  あなたを……裂け目へ誘うために……  その声に従えば……  名裂世界は……終わる……」

少女は胸の奥の光を抱きしめた。

啓示ロゴスは震え、 書記の真名“アザ=リュド”を抱え、 堕落体の声を拒んだ。

少女は静かに言った。

「……私は……  堕落体の声には……従わない……  私は……原初構造そのものを……読む……」

堕落体が揺れた。

名裂世界は、 原初構造の中心へ向かって沈み続けた。

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