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11|待っていたと言って

INDEPENDENT / NON-CANON

『まだ、閉じない。|理沙と美咲』/第一連作

『観測者圏』の人物・世界設定を用いた独立した非正史作品です。本編正史には影響しません。

十八時四十分には、二人で夕食を食べる予定だった。

 AUTHの緊急Reviewが止まらなくなった。

今日はかなり遅くなるかもしれません。

分かりました。大丈夫です。仕事を優先してください。

 二十時十一分。

まだ終わりません。
今日は行けないと思います。

了解です。無理しないでください。

 理沙は二膳あった箸を一膳戻し、一人分の鮭を焼いた。

 向かいの椅子には誰もいない。

 理解している。美咲は悪くない。仕事なら自分も同じ判断をする。

 それでも寂しい。

 理沙は「寂しい」と入力し、一度消した。

 翌日。

「昨日、本当は?」

 美咲が訊いた。

「仕方がないと思いました」

「それ以外」

「寂しかったです」

「うん」

「でも、美咲さんに責任は」

「責任の話してません」

 そこで理沙は黙った。

 美咲もすぐに説明しない。少し歩いてから言った。

「私は、理沙さんに理解してほしい。でも、理解した結果として感情まで消してほしいわけじゃないです」

「了解。でも残念です、なら言えます」

「それでもいい」

「昨日、会いたかったです」

「私も」

 数日後、今度は理沙の仕事が延びた。

仕方ない。
でも残念。
会いたかった。

 理沙は画面を見る。以前より、美咲の文章が少し明確になった気がした。

 仕事が終わり、美咲のところへ行く。

「待たせました」

「待ってました」

 美咲は責めるでもなく言った。

 理沙は上着を脱ぎ、美咲の横へ座る。

 言葉を追加せず、肩だけを触れさせた。