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12|同じ住所じゃなくても

INDEPENDENT / NON-CANON

『まだ、閉じない。|理沙と美咲』/第一連作

『観測者圏』の人物・世界設定を用いた独立した非正史作品です。本編正史には影響しません。

美咲の賃貸更新案内から、同棲の話が始まった。

「一緒に住みたい?」

 美咲が訊く。

「はい」

 理沙はすぐ答えた。

「私も」

 それでも、今回は更新した。

「この紙に決めさせたくないです」

 理沙が更新案内を見る。

「期限が来たから同棲する、ではなくて」

「一緒に住みたいから住む」

「はい」

 三か月後に改めて考える。それだけ決めた。

 その日のうちに、二人は将来の家の条件を書き始めた。

 通勤、防災、騒音、収納、キッチン。家賃負担は収入比を基準にして、共通費と個人費を分ける。

「そこまで今決める?」

「揉めてから決めるよりは」

「でも、住んでみないと分からないこともあります」

「では見直し条件をつけます」

「そういうところは好き」

 さらに、一人になれる部屋。植物に光が入ること。二人で立っても肘がぶつかりすぎないキッチン。

 美咲が書き足す。

近くにおいしいパン屋がある

「パン屋は閉店する可能性があります」

「そういう不吉なことを言わない」

 最後に、美咲は少し考えて書いた。

二人とも帰りたいと思えること。

「評価基準がありません」

「知っています」

 理沙はその横へ丸をつけた。

「でも、一番重要です」

 夜は、それぞれ別の家へ帰った。

 同じ住所になる前から、二人はもう共同生活について話し始めていた。