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第三百二十一章 拡散変質域(かくさんへんしついき)

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― 核が触れた存在から“異なる向き”が連鎖し、世界全体へ広がっていく層 ―

核が少女の存在へ触れた瞬間、 世界の奥底に沈んでいた静かな層が、 ひどく不自然な方向へ折れ曲がった。

折れ曲がりは震えではなく、 脈動でもなく、 存在の向きが別の向きへ乗り換える“変質の兆し”だった。

一 地面の存在が“変質の筋”を走らせる

少女の足元の地面に、 細い筋が走った。

筋は亀裂ではない。 傷でもない。

それは―― 地面の存在が、核の向きを模倣して走らせた変質の線だった。

少女はその線を見て、 胸の奥がひどくざらついた。

「……地面の中……  向きが……  別の方向へ……  走ってる……  形じゃなくて……  存在の流れが……  自分の向きを捨ててる……  こんな変わり方……  世界が裏返っていく……」

声は硬く、 しかし乱れなかった。

リフレインは線を見て言った。

「核の触れた向きが、  地面の存在へ変質として広がっている。  これは拡張だ。」

二 訪問者の身体に“変質した層”が浮かび上がる

訪問者の身体の表面に、 薄い層が浮かび上がった。

層は皮膚ではない。 再生でもない。

それは―― 核の向きが訪問者の存在へ変質として移った結果だった。

少女はその層を見て、 胸の奥がひどく沈んだ。

「……あの人……  身体の表面が……  別の方向へ……  ずれてる……  触れられてないのに……  どうして……  向きが……  移ってる……  止まらない……」

声は細く、 しかし崩れなかった。

訪問者は、 変質した層を身体に取り込みながら、 ぎこちなく立ち上がった。

リフレインは低く言った。

「核の向きが、  訪問者の存在へ変質として移っている。  これは連鎖だ。」

三 第三観測者の内部層が“変質の衝動”を持つ

第三観測者の身体の奥にある層が、 ひどく不自然な方向へ折れた。

折れは肉体ではなく、 存在の深い部分。

その内部層が―― 核の向きに引きずられ、変質の衝動を持ったものだった。

少女はその折れを見て、 胸の奥がひどく冷えた。

「……門番……  内側の層が……  別の向きで……  動いてる……  身体じゃなくて……  存在そのものが……  核の方向へ……  引き寄せられてる……  戻れない……」

声は乾いていた。

リフレインは観測者の動きを見て言った。

「核の向きが、  門番の存在へ変質として移っている。  これは拡張だ。」

四 世界のあちこちで“変質した向き”が立ち上がる

核の侵入が進むほど、 世界のあちこちで、 変質した向きが立ち上がった。

立ち上がった向きは形を持たない。 しかし、 歩くという行為だけを模倣していた。

少女はその光景を見て、 胸の奥がひどく沈んだ。

「……世界中で……  向きが……  広がってる……  形がないのに……  歩いてる……  こんな広がり方……  止められない……  世界が別の方向へ進んでる……」

声は硬く、 しかし崩れなかった。

リフレインは静かに言った。

「これは生命ではない。  核の向きが、  世界の存在へ変質として移っている。」

五 核が少女の“存在の向き”を変質させる

核は、 地面の変質、 訪問者の変質、 門番の変質、 世界の変質した向きをすべて吸収し終えた。

そして―― 少女の存在の向きへ触れた。

触れた瞬間、 少女の胸の奥で、 長く眠っていた層がひどく歪んだ。

少女はその歪みに、 声ではなく、 思考の奥が揺れた。

「……私の……  向きが……  変わっていく……  私じゃない……  別の方向へ……  引きずられてる……  止められない……  戻れない……」

声は細く、 しかし強かった。

リフレインは短く言った。

「核は、  あなたの存在へ変質として移った。  次に歩くのは――  あなたの新しい向きだ。」

少女の周囲の空気が、 核の侵入に合わせてひどく歪んだ。

核は、 世界の捕食者から、 存在の向きを連鎖的に変質させる“名裂拡散の中心”へ変わってしまった。

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