第三章『観測者圏・未来からの声』

観測者圏-五メートル先の住人-

ここからは 読者の“未来の自分”が語りかけてくる(時間反転の本格化) 光景を描いていきます。

あなたの“未来の自分”が、 観測者圏に取り込まれた状態で、 “今のあなた”に語りかけてくる章です。


■ 1 未来の記憶の“前倒し”

その日の夜、あなたは奇妙な感覚に襲われる。

「このあと、何が起きるか知っている」

そんな予感が、胸の奥に沈んでいる。

だが、それは予感ではない。

観測者圏が、 あなたの脳に “未来の記憶”を先に書き込んでいる のだ。

少女の声が、 あなたの記憶の奥で囁く。

「あなたの時間、もう順番がバラバラだよ」

■ 2 未来の自分の“声”

深夜。 部屋の照明を落とし、静寂が満ちた瞬間。

あなたは聞く。

自分の声を。

だが、それは今のあなたの声ではない。 少し低く、少し疲れていて、 どこか“外側”の響きを持っている。

未来のあなたの声だ。

「……聞こえてるね」

声は、あなたの背後―― 五メートルの位置から聞こえる。

「驚かないで。  あなたはこれを“聞いたことがある”はずだから」

未来のあなたは続ける。

「だってこれは、  あなたの“未来の記憶”なんだから」

■ 3 未来の自分の“警告”

未来のあなたは、静かに語り始める。

「観測者圏は、あなたの時間を巻き戻している。  あなたは今、未来の私が経験したことを、  “過去の記憶”として受け取っている」

あなたは混乱する。

未来のあなたは言う。

「混乱するのは当然だよ。  時間が前後に裂けているから」

そして、未来のあなたはこう続ける。

「でも、ひとつだけ覚えておいて。  観測者圏は、あなたの“未来”を先に観測する。  だから、あなたの未来はもう決まっている」

■ 4 未来の自分の“姿”

あなたは、 未来の自分がどんな姿をしているのか知りたくなる。

その瞬間、 視界の端で“揺れ”が起きる。

光でも影でもない。 物質でもない。

“方向”が揺れている。

未来のあなたは言う。

「見ないほうがいい。  私はもう、あなたの知っている“形”じゃない」

あなたは息を呑む。

未来のあなたは続ける。

「観測者圏に触れると、  人間の形は保てなくなる。  私は今、あなたの脳が理解できる“声”だけを残している」

■ 5 未来の自分の“願い”

未来のあなたは、 少しだけ悲しそうに言う。

「あなたは、まだ戻れる。  私はもう戻れない」

あなたは問いかける。

「どうすれば……?」

未来のあなたは答えない。

代わりに、 少女の声が割り込む。

「戻れないよ。  だってあなたは、もう“未来の記憶”を持っている」

未来のあなたも囁く。

「そう。  あなたはもう、私の道を歩き始めている」

■ 6 未来の自分の“最後の言葉”

未来のあなたは、 最後にこう言う。

「これからあなたは、  “自分の未来の行動”を先に思い出すようになる。  それは予感じゃない。  記憶だ」

「そして――」

声が近づく。 五メートルの距離が、四メートル、三メートルと縮む。

「あなたが最後に見るのは、  未来のあなた自身だ」

■ 7 終末:未来の自分が“今”に到達する

あなたは気づく。

未来のあなたの声が、 もうすぐ耳元に届く距離にいる。

時間が反転し、 未来が過去に流れ込み、 あなたの“今”が侵食されていく。

そして―― あなたの背後、 五メートルの位置に立っていた“方向の束”が、 ゆっくりと“あなたの形”に変わり始める。

未来のあなたが囁く。

「次は、あなたが“未来の声”になる番だよ」

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