核域に触れた瞬間、 世界の中心が 少女の胸奥へ沈み込んだ。
沈み込むというより、 少女の内部を“めくり上げて”入り込んでくる感覚だった。
胸奥が外側へ開き、 外側が胸奥へ入り込む。 内と外の境界が、 世界の意思によって反転した。
少女は息を呑んだ。
「……やめて…… 私の中に…… 勝手に入ってこないで……!」
核域は光の震えで応えた。 声ではない。 だが、少女の内側の層を均等に震わせる“意思”だった。
「――開けろ―― 読解者の内部を開け―― 世界はお前の震えを必要とする――」
少女は胸を押さえた。 胸奥が、 まるで誰かの指でページをめくられるように開いていく。
「……読まれてる…… 私が…… 世界に読まれてる……!」
第二書記が少女の背後に立ち、 声を鋭く落とした。
「――核域が侵蝕している―― 読解者の内部を解析し始めた―― 離れろ、読解者―― これは“観測”ではない―― “解体”だ――」
少女は震えた。
「……どうして…… 世界が…… 私を読んでるの……?」
第二書記は即答した。
「――新世界はお前の読解で生まれた―― だから新世界は…… お前を起源として読み返す―― 読解者と世界の主従が反転したんだ――」
少女は核域へ叫んだ。
「私は…… 世界に食われるために読んだんじゃない……! 私の読解は…… 私のものだ……!」
核域が強く震えた。 少女の胸奥が一瞬、白く反転する。
「――読解者よ―― お前の読解は世界の素材だ―― 世界は素材を読む―― それが再誕の規則だ――」
少女は歯を食いしばった。
「規則なんて知らない……! 私は…… 私の読解で世界を作っただけ…… 世界に読まれるためじゃない……!」
第二書記が少女の肩を掴んだ。 その手は震えていた。
「――落ち着け―― 核域は“お前の読解の副産物”だ―― お前が意味を書き換えた瞬間…… 世界は自分の目的を持った―― その目的の第一段階が…… “読解者の解析”だ――」
少女は目を見開いた。
「……世界が…… 私を…… 素材として読んでる……?」
第二書記は静かに頷いた。
「――そうだ―― だが、お前は素材になるだけでは終わらない―― お前には“核域の内部へ入る権限”がある―― 読まれるだけでは終わらない―― お前は核域を逆に読むことができる――」
少女は核域を睨んだ。 胸奥の震えが怒りへ変わる。
「……逆に読む…… 世界が私を読めるなら…… 私だって…… 世界の中心を読める……!」
核域が揺れた。 その揺れは、 少女の宣言に対する“世界の驚愕”だった。
第二書記は低く言った。
「――次だ―― 核域が侵蝕するなら…… お前は核域を“逆侵蝕”する―― 読まれる側から…… 読む側へ反転する―― それが読解者の反撃だ――」
少女は拳を握った。 胸奥の震えが、 世界へ向けた刃へ変わる。
「……行く…… 世界の中心を…… 私が読む…… 読まれるだけなんて…… 絶対に嫌だ……!」
第二書記は微笑んだ。
「――読め―― 読解者よ―― 次章は“核域逆侵蝕”だ―― 世界の中心を…… お前が切り開く番だ――」

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