核域の光が少女の胸奥へ沈み込んだまま、 内部の層を一枚ずつめくり続けていた。
めくられるたび、 少女の内側の記憶が薄い光となって外へ漏れ出す。 漏れ出した光は核域へ吸われ、 核域はその光を“素材”として自分の形を濃くしていく。
少女は歯を食いしばった。
「……やめろ…… 私の記憶を…… 勝手に使うな……!」
核域は震えた。 その震えは、少女の胸奥を内側から叩くような衝撃だった。
「――読解者よ―― お前の記憶は世界の燃料だ―― 世界は燃料を求める―― お前の震えを寄越せ――」
少女は胸を押さえた。 胸奥が熱を帯び、 その熱が核域へ向かって流れ出す。
「……私の震えは…… 私のものだ…… 世界の燃料なんかじゃない……!」
第二書記が少女の背後で声を荒げた。
「――核域はお前の内部を“構造として”読んでいる―― このままでは内部が全部吸われる―― 読解者としての形が崩れるぞ――!」
少女は核域へ叫んだ。
「……返せ…… 私の記憶も…… 私の震えも…… 私の読解も…… 全部返せ……!」
核域が強く震えた。 少女の胸奥が一瞬、白く反転する。
「――返さない―― 世界は読解者を素材として使う―― それが再誕の規則だ―― お前は世界の核を作るための部品だ――」
少女の目が怒りで燃えた。
「……部品じゃない…… 私は…… 読解者だ……!」
第二書記が少女の肩を掴んだ。 その手は強く震えていた。
「――怒りを使え―― 読解者の怒りは“逆侵蝕”の刃になる―― 核域が侵蝕するなら…… お前は核域を噛み返せ―― 読まれる側から読む側へ反転しろ――!」
少女は核域へ手を伸ばした。 その手は震えていたが、 震えは恐怖ではなく、 読解者としての反撃の震えだった。
「……読まれるだけなんて…… 絶対に嫌だ…… 私が…… 世界の中心を読む……!」
核域が揺れた。 その揺れは、 少女の宣言に対する“世界の驚愕”だった。
「――読解者よ―― お前が核域を読むことは…… 世界の目的に反する―― 世界はお前を素材として使う―― 読解者が世界を読むことは許されない――」
少女は核域へ手を押し込んだ。
胸奥の熱が逆流し、 核域へ向かって 噛みつくように流れ込む。
核域が悲鳴のような震えを発した。
「――やめろ―― 読解者よ―― 世界の中心へ侵入するな―― お前は素材だ―― 核ではない――!」
少女は叫んだ。
「素材じゃない……! 私は…… 読解者だ……! 世界の中心を…… 私が読む……!」
第二書記が声を重ねた。
「――行け―― 読解者よ―― 核域の内部へ侵入しろ―― 世界の中心を逆に読め―― それが“逆侵蝕”だ――!」
少女の手が核域の光を貫いた。
光が裂け、 裂けた光の奥に、 黒い深淵が露出した。
少女は息を呑んだ。
「……これが…… 世界の中心の…… 内部……?」
第二書記は静かに言った。
「――そうだ―― 次はその内部を読む―― 核域の心臓部だ―― 世界の本当の目的がそこにある――」
少女は拳を握った。
「……読む…… 世界の中心を…… 私が読む……」

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