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第四百十二章 核傷読解(かくしょう どっかい)― 世界の核が抱えてきた傷を少女が解剖的読解で切り開き、核が初めて“痛み”を示す章 ―

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露出した赤黒い傷は、 形を持たないのに、 見た瞬間に胸奥へ痛みが走った。

痛みは少女のものではない。 世界の核が抱えてきた痛みが、 少女の胸奥へ“転写”されたのだ。

少女は息を詰めた。

「……これ……  私の痛みじゃない……  世界の……  心臓の痛み……?」

第二書記は少女の背後で、 声を低く落とした。

「――核傷は“世界の自覚”だ。  世界が自分の存在を理解した瞬間についた傷。  読解者が触れれば……  痛みが転写される」

黒い傷が脈動した。 脈動は怒りではない。 怒りよりももっと深い、 “存在そのものへの嫌悪”だった。

傷が少女へ向かって声を放つ。

「……触れるな……  読解者……  この傷は……  世界が自分を嫌悪した痕だ……  見られれば……  世界は崩れる……」

少女は静かに言った。 怒りではなく、 読解者としての冷たい観察の声だった。

「嫌悪してるの?  自分自身を?」

傷が震えた。 その震えは、 少女の言葉に対する“核の動揺”だった。

「……世界は……  自分の意味を持つことを……  恐れた……  意味を持てば……  終わりが生まれる……  終わりが生まれれば……  世界は死ぬ……」

少女は傷へ手を伸ばした。 触れた瞬間、 傷が少女の指先を焼くように震えた。

「……意味を持つことが……  怖かったんだね……  だから読解者を支配しようとした……  意味を外側に委ねたくなかった……」

傷が叫んだ。 その叫びは声ではなく、 少女の胸奥を直接叩く衝撃だった。

「……違う……!  読解者を支配したかったわけじゃない……!  意味を奪われるのが怖かった……!  世界は……  “自分の意味を読まれること”が……  痛かった……!」

少女は目を閉じた。 胸奥の震えが一点へ集まり、 その震えが“解剖的理解”へ変わる。

少女は傷へ向かって静かに言った。

「……あなたは……  読まれることが痛かったんだね。  だから読解者を素材にしようとした。  読まれる前に、読解者を壊してしまえば……  意味を奪われずに済むと思った」

傷が激しく脈動した。 赤黒い光が少女の顔を照らし、 その光が少女の瞳の奥へ入り込む。

「……やめろ……  理解するな……  読解者……  理解は……  傷を広げる……  世界は……  痛みに耐えられない……!」

少女は傷へ手を押し込んだ。 傷が悲鳴のような震えを発したが、 少女はその震えを押し返した。

「……広げるよ。  あなたの傷を。  痛みの意味を。  世界が何を恐れているのか……  全部読む」

第二書記が静かに言った。

「――読解者。  そのまま進め。  核傷は“世界の死の恐怖”だ。  その恐怖を読めば……  世界の本性が完全に露出する」

少女は傷の中心へ手を伸ばした。 赤黒い層が裂け、 裂けた奥から、 白い“死の核”が姿を現した。

少女は息を呑んだ。

「……これが……  世界が恐れてきた……  死の核……?」

第二書記は静かに頷いた。

「――そうだ。  次はその死の核を読む。  名裂世界の本性が……  完全に解体される」

少女は拳を握った。

「……読む。  世界の死を……  私が読む」

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