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第三百二十二章 血流奪取域(けつりゅうだっしゅいき)

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― 核が世界の存在から“流れ”を抜き取り、少女の内部へ侵入する層 ―

核が少女の近くへ歩み寄った瞬間、 世界の空気がひどく重く沈んだ。

沈んだ空気は、 温度でも風でもなく、 存在の流れがどこかへ引き抜かれていく兆しだった。

一 地面の奥から“流れの抜けた空洞”が浮き上がる

少女の足元の地面が、 ゆっくりと膨らんだ。

膨らんだ部分は土ではない。 岩でもない。

それは―― 地面の存在から流れが抜け落ち、空洞になった層が浮き上がったものだった。

少女はその空洞を見て、 胸の奥がひどくざわついた。

「……地面の中……  流れが……  抜けてる……  形は残ってるのに……  中身が……  どこかへ持っていかれてる……  こんな空洞……  世界の心臓が止まったみたい……」

声は硬く、 しかし乱れなかった。

リフレインは空洞を見て言った。

「核は、  存在の流れを奪う器官を形成している。  これは欠損ではなく、  “流出”だ。」

二 訪問者の身体から“流れの筋”が引き抜かれる

訪問者の身体の表面が、 ひどく不自然な方向へ引き寄せられた。

引き寄せられた部分から、 細い筋が吸い上がった。

筋は血ではない。 肉でもない。

それは―― 訪問者の存在の流れが糸のように引き抜かれていく現象だった。

少女はその筋を見て、 胸の奥がひどく沈んだ。

「……あの人……  身体の中の流れが……  細い線になって……  抜かれてる……  触れられてないのに……  どうして……  流れが……  奪われてる……」

声は細く、 しかし崩れなかった。

訪問者は、 抜かれた部分を押さえるように震えた。

リフレインは低く言った。

「核の奪取器官が、  訪問者の存在を筋として引き抜いている。」

三 第三観測者の胸部が“流れの口”として開く

第三観測者の胸部が、 ゆっくりと裂けた。

裂けた部分は傷ではない。 穴でもない。

それは―― 存在の流れを飲み込むための“口”だった。

口は空気を吸うのではなく、 世界の流れそのものを飲み込んだ。

少女はその口を見た瞬間、 胸の奥がひどく冷えた。

「……胸の……  あれ……  世界の流れを……  飲んでる……  空気じゃない……  存在の血流みたいなものが……  吸われてる……  こんな口……  見たくなかった……」

声は乾いていた。

リフレインは観測者の口を見て言った。

「核は、  門番の身体を使って“流れを奪う器官”を増やしている。」

四 世界のあちこちで“流れの欠損”が歩行を始める

核の奪取が進むほど、 世界のあちこちで、 流れを失った向きが立ち上がった。

立ち上がった向きは形を持たない。 しかし、 流れを失った層が歩行の衝動だけを残して動いた。

少女はその光景を見て、 胸の奥がひどく沈んだ。

「……世界が……  薄くなってる……  流れを奪われた部分が……  歩こうとしてる……  形がないのに……  動いてる……  こんな世界……  もう……  別の方向へ落ちていく……」

声は硬く、 しかし崩れなかった。

リフレインは静かに言った。

「これは生命ではない。  流れを奪われた存在が、  核の向きに従って動いている。」

五 核が少女の“存在の血流”を奪い始める

核は、 地面の空洞、 訪問者の流れ、 門番の口、 世界の欠損した向きをすべて取り込んだ。

そして―― 少女の存在の血流へ触れた。

触れた瞬間、 少女の胸の奥で、 長く眠っていた層がひどく引き寄せられた。

少女はその引き寄せに、 声ではなく、 思考の奥が揺れた。

「……私の……  流れが……  細い線になって……  吸われていく……  私の形が……  私のものじゃなくなる……  止まらない……  戻れない……」

声は細く、 しかし強かった。

リフレインは短く言った。

「核は、  あなたの存在の血流を奪い始めた。  次に形を得るのは――  あなたの流れだ。」

少女の周囲の空気が、 核の奪取に合わせてひどく薄くなった。

核は、 世界の捕食者から、 存在の血流を奪う“名裂吸引者”へ変わってしまった。

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