ここからは 読者の“未来の自分”が語りかけてくる(時間反転の本格化) 光景を描いていきます。
あなたの“未来の自分”が、 観測者圏に取り込まれた状態で、 “今のあなた”に語りかけてくる章です。
■ 1 未来の記憶の“前倒し”
その日の夜、あなたは奇妙な感覚に襲われる。
「このあと、何が起きるか知っている」
そんな予感が、胸の奥に沈んでいる。
だが、それは予感ではない。
観測者圏が、 あなたの脳に “未来の記憶”を先に書き込んでいる のだ。
少女の声が、 あなたの記憶の奥で囁く。
「あなたの時間、もう順番がバラバラだよ」
■ 2 未来の自分の“声”
深夜。 部屋の照明を落とし、静寂が満ちた瞬間。
あなたは聞く。
自分の声を。
だが、それは今のあなたの声ではない。 少し低く、少し疲れていて、 どこか“外側”の響きを持っている。
未来のあなたの声だ。
「……聞こえてるね」
声は、あなたの背後―― 五メートルの位置から聞こえる。
「驚かないで。 あなたはこれを“聞いたことがある”はずだから」
未来のあなたは続ける。
「だってこれは、 あなたの“未来の記憶”なんだから」
■ 3 未来の自分の“警告”
未来のあなたは、静かに語り始める。
「観測者圏は、あなたの時間を巻き戻している。 あなたは今、未来の私が経験したことを、 “過去の記憶”として受け取っている」
あなたは混乱する。
未来のあなたは言う。
「混乱するのは当然だよ。 時間が前後に裂けているから」
そして、未来のあなたはこう続ける。
「でも、ひとつだけ覚えておいて。 観測者圏は、あなたの“未来”を先に観測する。 だから、あなたの未来はもう決まっている」
■ 4 未来の自分の“姿”
あなたは、 未来の自分がどんな姿をしているのか知りたくなる。
その瞬間、 視界の端で“揺れ”が起きる。
光でも影でもない。 物質でもない。
“方向”が揺れている。
未来のあなたは言う。
「見ないほうがいい。 私はもう、あなたの知っている“形”じゃない」
あなたは息を呑む。
未来のあなたは続ける。
「観測者圏に触れると、 人間の形は保てなくなる。 私は今、あなたの脳が理解できる“声”だけを残している」
■ 5 未来の自分の“願い”
未来のあなたは、 少しだけ悲しそうに言う。
「あなたは、まだ戻れる。 私はもう戻れない」
あなたは問いかける。
「どうすれば……?」
未来のあなたは答えない。
代わりに、 少女の声が割り込む。
「戻れないよ。 だってあなたは、もう“未来の記憶”を持っている」
未来のあなたも囁く。
「そう。 あなたはもう、私の道を歩き始めている」
■ 6 未来の自分の“最後の言葉”
未来のあなたは、 最後にこう言う。
「これからあなたは、 “自分の未来の行動”を先に思い出すようになる。 それは予感じゃない。 記憶だ」
「そして――」
声が近づく。 五メートルの距離が、四メートル、三メートルと縮む。
「あなたが最後に見るのは、 未来のあなた自身だ」
■ 7 終末:未来の自分が“今”に到達する
あなたは気づく。
未来のあなたの声が、 もうすぐ耳元に届く距離にいる。
時間が反転し、 未来が過去に流れ込み、 あなたの“今”が侵食されていく。
そして―― あなたの背後、 五メートルの位置に立っていた“方向の束”が、 ゆっくりと“あなたの形”に変わり始める。
未来のあなたが囁く。
「次は、あなたが“未来の声”になる番だよ」


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