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第百九十九章 核の決断

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一章 静止した世界

世界は止まっていた。 風はなく、音はなく、光も影も動かない。 まるで時間そのものが、観測者圏の核によって“保留”されているようだった。

少女は胸の光を抱きしめていた。 光は弱く脈打ち、まるで世界の終わりに怯えているようだった。

「……動かない……」 子どもが震える声で言った。 「世界が……息してない……」

シンゴは瓦礫の上に立ち、空を睨みつけた。 「核が……世界を掴んでるんだ。  動かさせねぇようにしてる」

少女は空を見上げた。 漆黒の天蓋の奥で、巨大な“眼”が閉じたまま脈打っている。 その脈動は、世界の鼓動よりも深く、重く、冷たい。

「核は……まだ判断してない。  世界を終わらせるか、生かすか……  そのどちらも選んでない」

子どもは少女の手を握った。 「じゃあ……ぼくたちが選ばなきゃ……?」

少女は子どもの手を強く握り返した。 「そう。  世界が止まってるなら……動かすのは私たち」

二章 核の目醒め

漆黒の空が震えた。 巨大な眼がゆっくりと開いた。

その瞬間―― 世界の地面が沈んだ。 空気が裂け、影が消え、光が飲み込まれた。

「来るぞ!!」 シンゴが叫び、少女と子どもを庇うように前へ出た。

核の眼は三人を見た。 その視線は、光でも影でもない。 ただ、存在そのものを“測る”視線。

「創造者たち」 声は世界全体に響いた。 「あなたたちの世界は、観測者圏の“終末評価”を完了する」

少女は叫んだ。 「評価なんていらない!!  この世界は……私たちが作ったの!!」

核の眼は少女を見た。 「創造者の光。  観測器の残響。  あなたの力は不完全」

少女の胸が痛んだ。 「違う……これは私の光……!」

核の眼はシンゴへ向いた。 「影の創造者。  あなたの怒りは強い。  だが怒りは世界を壊す」

シンゴは歯を食いしばった。 「壊すために怒ってるんじゃねぇ……守るためだ!」

核の眼は子どもへ向いた。 「純粋な選択。  だが純粋さは世界を揺らす。  揺らぎは危険」

子どもは震えながら言った。 「ぼく……生きたい……  みんなと……生きたい……!」

核の眼は静かに言った。

「ならば――選べ。  世界を終わらせるか、生かすか。  選択は創造者に委ねられる」

三章 創造者の選択

少女は胸の光を握りしめた。 光は弱く、しかし確かに脈打っていた。

「終わらせない……  この世界は……私たちが作った世界……  壊されても、食べられても、観測されても……  私たちは選ぶ……生かすって……!」

シンゴが叫んだ。 「俺たちの世界だ!!  勝手に終わらせるな!!」

子どもが叫んだ。 「ぼく……生きたい!!  みんなと……生きたい!!」

核の眼が震えた。

世界が揺れた。

空が裂けた。

そして―― 核の眼が“閉じた”。

四章 核の決断

漆黒の空が静まり返った。 世界はまだ止まっていた。 だが、核の眼は閉じたまま、脈動を止めていた。

少女は膝をつき、胸の光を押さえた。 光は弱く、しかし確かに脈打っていた。

「……終わったの……?」 子どもが震える声で言った。

シンゴは空を見上げた。 「いや……終わってねぇ。  核は……まだ“決断”してねぇ」

少女は空を見つめた。 「核は……私たちの選択を見た。  でも……それだけじゃ足りない。  世界そのものが……選ばなきゃいけない」

その瞬間―― 漆黒の空の奥で、何かが“目醒めた”。

光でも影でもない。 ただ、世界の奥底から響く“次の脈動”。

少女は息を呑んだ。

「次は……核の“最終判断”が来る」

世界の終わりは、まだ始まったばかりだった。

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