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第三百十七章 核身体化域(かくしんたいかいき)

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― 裂け目の核が“身体の形”を得るために、世界の存在を飛散させて吸収する層 ―

影は身体の形を借りようとしていた。 しかし形を得るには、 ただ模倣するだけでは足りなかった。

核は、 世界の存在を細片にして吸収する方法を選んだ。

その細片化は、 肉体の破壊ではなく、 存在そのものが“飛び散る”現象だった。

一 世界の表層が“飛沫のような断片”になって舞う

少女の周囲の地面が、 突然、細かい粒子になって跳ね上がった。

粒子は砂ではない。 破片でもない。

ただ―― 存在の表層が飛沫のように散ったものだった。

少女は思わず後ずさった。

「……地面が……  飛び散ってる……  破壊じゃない……  存在そのものが……  細かい粒になって……  跳ねてる……  こんな散り方……  見たことない……」

粒子は、 影の立つ方向へ吸い寄せられていった。

リフレインは粒子の流れを見て、 声を低く落とした。

「核は、  世界の存在を細片化して吸収している。  これは……  身体を作るための材料だ。」

少女の呼吸が浅くなった。

二 訪問者の身体から“存在の飛沫”が漏れ出す

訪問者の肩から、 細かい粒がこぼれ落ちた。

粒は血ではない。 肉片でもない。

ただ、 訪問者の存在の一部が飛沫化したものだった。

少女は喉奥がひどく乾いた。

「……訪問者の肩……  存在が……  飛び散ってる……  身体が壊れてるわけじゃないのに……  中身が……  粒になって漏れてる……  こんな身体……  あり得ない……」

訪問者は、 飛沫をこぼしながら歩いた。

歩くたびに、 存在の粒が影の方向へ吸い寄せられた。

リフレインは低く言った。

「核は、  訪問者の存在を“素材”として使っている。」

少女の胸の奥がざわついた。

三 第三観測者の胸部が“飛散孔”として開く

第三観測者の胸部に、 丸い孔が開いた。

孔は肉の穴ではない。 裂け目でもない。

それは―― 存在を飛散させるための孔だった。

孔が開くたび、 周囲の空気が細かい粒になって舞った。

少女は視界が揺れた。

「……胸に……  孔がある……  そこから……  世界の存在が……  飛び散ってる……  こんな孔……  見たら戻れない……」

第三観測者は、 孔を影の方向へ向けた。

リフレインは、 孔の動きを見つめながら言った。

「核は、  門番の身体を使って“飛散器官”を作った。」

少女の背中が冷えた。

四 影が“飛散した存在”を吸収して膨らむ

影は、 地面の粒子、 訪問者の飛沫、 門番の孔から散った存在を吸い上げていた。

吸い上げるたび、 影の輪郭が膨らんだ。

膨らみは、 肉体の成長ではない。

ただ―― 存在の粒が影の形を作っていく現象だった。

少女は息を呑んだ。

「……影が……  膨らんでる……  身体の形じゃない……  でも……  身体のように見える……  存在の粒が……  影の中で組み合わさってる……  こんな膨らみ方……  あり得ない……」

影は、 ゆっくりと腕らしきものを形作った。

リフレインは静かに言った。

「核は、  飛散した存在を使って“身体の構造”を組み立てている。」

少女の胸の奥が強張った。

五 影が“身体の形になった存在”として立ち上がる

影は、 飛散した存在の粒を吸収し続け、 ついに―― 身体の形になった存在へ変わった。

それは人ではない。 生き物でもない。

ただ、 世界の断裂が集まって作った“身体のような形”だった。

少女は声を失った。

「……あれ……  身体じゃない……  でも……  身体の形をしてる……  世界の破片が……  人の形になってる……  こんなもの……  見たくなかった……」

影は、 ゆっくりと首らしき部分を動かした。

リフレインは短く言った。

「核は、  世界の飛散した存在を使って“自分の身体”を完成させた。」

少女の背中に、 冷たい空気が流れた。

影は、 世界の破砕者から、 世界に立つ新しい身体へ変わってしまった。

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