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第三百十六章 核具現域(かくぐげんいき)

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― 裂け目の核が“身体の形”を借りて世界へ現れようとする層 ―

世界に散らばる沈みが線を描き、 その中心に立った影は、 静かに“形”を求め始めた。

影はまだ輪郭を持たない。 しかし、 身体の構造を模倣するための動きを始めていた。

一 地面の沈みが“関節のような折れ”を作る

少女の足元の沈みが、 ゆっくりと折れ曲がった。

折れたといっても、 地面が割れたわけではない。

沈みが、 関節のように曲がったのだ。

少女は息を呑んだ。

「……地面が……  曲がってる……  まるで……  身体の一部みたいに……  折れ方に“意志”がある……」

沈みは、 影の立つ方向へ向けて曲がっていた。

リフレインはその曲がりを見て、 声を低く落とした。

「核は、  世界の表層を“身体の部位”として使おうとしている。」

少女の背中が冷えた。

二 訪問者の身体に“余分な折れ”が生まれる

訪問者の腕に、 本来ないはずの折れが生まれた。

骨ではない。 肉でもない。

ただ、 存在の構造が身体の形を模倣して折れたのだ。

少女は喉奥がひどく乾いた。

「……訪問者の腕……  関節が増えてる……  曲がるはずのない方向に……  滑らかに折れてる……  こんな身体……  見たことない……」

訪問者は、 その余分な折れを使って歩いた。

歩みは不自然だが、 折れた部分は妙に滑らかだった。

リフレインは低く言った。

「核は、  訪問者の身体を“自分の形の試作”として使っている。」

少女の胸の奥がざわついた。

三 第三観測者の胸部に“ねじれた管”が伸びる

第三観測者の胸部から、 細い管が伸びた。

管は血管ではない。 肉の管でもない。

それは―― 存在の裂け目が身体の管の形を模倣したものだった。

管は、 空気を吸うでも吐くでもなく、 ただ“ねじれながら伸びる”だけだった。

少女は視界が揺れた。

「……胸から……  管が伸びてる……  生き物の管じゃない……  世界の裂け目が……  身体の形を真似してる……  こんな伸び方……  あり得ない……」

第三観測者は、 その管をゆっくりと影の方向へ向けた。

リフレインは、 管の動きを見つめながら言った。

「核は、  門番の身体を使って“自分の器官”を作ろうとしている。」

少女の呼吸が乱れた。

四 影が“身体の輪郭”を借り始める

影は、 地面の折れ、 訪問者の余分な関節、 門番のねじれた管を見ていた。

そして―― 影の輪郭が、 身体の形を借りるように膨らんだ。

少女は息を呑んだ。

「……影が……  身体の形を真似してる……  腕みたいな……  脚みたいな……  でも……  どれも“本物の身体”じゃない……  存在の形が……  身体を模倣してる……」

影は、 身体の形を借りながら、 ゆっくりと立ち上がった。

リフレインは静かに言った。

「核は、  世界の断裂を使って“身体の構造”を組み立てている。」

少女の背中に、 冷たい空気が流れた。

五 影が“身体の形になりかけた何か”として立つ

影は、 地面の折れ、 訪問者の余分な関節、 門番のねじれた管を組み合わせたような形になった。

それは身体ではない。 生き物でもない。

ただ―― 身体の形になりかけた存在だった。

少女は声を失った。

「……あれ……  身体じゃない……  でも……  身体の形をしてる……  世界の断裂が……  人の形を作ろうとしてる……  こんなもの……  見たくなかった……」

影は、 ゆっくりと首らしき部分を傾けた。

リフレインは短く言った。

「核は、  世界の断裂を使って“自分の身体”を作り始めた。」

少女の胸の奥が、 重い塊で押されたように強張った。

影は、 世界の破砕者から、 世界に立つ“新しい身体”へ変わろうとしていた。

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